正気作りのすゝめ

サンパウロに来た当初、
人間関係、仕事、アパート、ポルトガル語、
全てがゼロスタートのプレッシャーで、
軽く気が狂ってしまった。

そんなこと、ある程度予測していたのに...。
愛と知っていたのに...。春はやってくるのに...。

海外で一人暮らしを送る発狂寸前の成人男性が、
どのように正気を作ったか、というお話。

"Pressure makes diamonds, not hugs.
- Chris Rock"
(プレッシャーがダイアモンドを作る、ハグではない)

僕の日常はルーティンで出来ている。
十中八九、平日のスケジュールは下記の通り。

起床(即プロテインシェイク)

出社

軽食(主に卵)
PCの前や会議室に座る
昼食(肉、野菜、玄米)
PCの前や会議室に座る(たまに発言)

退社

スーパー(夕飯の食材を買う)

夕食(肉、野菜、果物)
趣味(ギター、読書、ネット、音楽・映画・動画)
運動(‎ウェイト→シェイク)
就寝


当地に赴いた当初、
家族や友人から離れ、軽く正気を失った。
初めの数か月は、多くの時間をソファに座り、
何が問題なのか、何が異常なのかを悶々と考えた。

他人には頼れない環境だ。

その際に思い出したのが、
昔読んだ、ト〇タ生産方式の考え方。
先ず正常のオペレーションを規定しない事には、
何が異常なのか分からない。問題を特定出来ず、
オペレーションの改善を行うことも出来ない。

そこで、自分の生活にある程度のパターンを作りながら、
ハッピーに暮らしている人間の話、本、動画を参考に、
自分に何が足りないのか、走りながら考えた。


その中で気付いた、主な不足要素は4つ。

運動、栄養、趣味、そして、人間との交流。

下記の通り、それぞれをブレイクダウンする。


1.運動
気が向いたら外を走ったり、重りを上げる程度で、
運動に関して大きな注意を払ってこなかった。

肉体的な障害を乗り越える事に、
人間の脳は喜びを感じるように出来ている。

自然、動物、疫病、災害、
沢山の外敵を乗り越えてきた人類。
身体を使って何かを成し遂げる事に喜びを得る、
そういう脳の報酬系を持った人間が残ってきた事は、
容易に理解出来る。

実際に運動をすると、
セロトニン、ドーパミン、エンドロフィン、
沢山のハッピーホルモン、脳内麻薬が出る。
運動を日常に取り入れることには大きなメリットがある。

トレーニングに関する素材をネットで見つけ、
勉強しながら、とりあえず毎日ジムに行くことにした。


2.栄養
出されたもの、好きなもの、を気分で食べていた。
麺物や丼物、揚げ物など、炭水化物と脂質が多かった。

3大栄養素である、タンパク質、脂質、炭水化物、
そして、各種のビタミン、ミネラル、食物繊維。
これらをバランス良く摂取しないと、
脳や身体が不機嫌になり、長期的に見ても、
筋肉、肌、骨、髪、はボロボロになる。

タンパク質(肉食)中心の食生活に切り替え、
生野菜や果物から他の栄養素を補う食生活に変えた。

基本的に、精製糖(白砂糖)は摂らない。
精製米(白米)や精製小麦(パンや麺)も極力摂らず、
(これらに、糖質以外の栄養素が含まれないため)
炭水化物を摂る際は、各種の栄養豊富な玄米にした。


3.趣味
仕事以外にさしたる趣味がなかった。
たまに本を読み、音楽を聴くぐらい。

運動にも似て、新しい事を出来るようになることに、
脳の報酬系は喜びを覚えるように出来ている。
ずっと興味のあったギターをこちらで始めた。
ヨガや格闘技にも興味を持っている。

仕事が趣味になってしまうと、
年収やポジション上げゲームに取り込まれ、
蟻地獄状態で、出世・転職競争から抜けられなくなる。

金で買える幸せは、800万円が上限と分かっている。
(ひとつ前の投稿をご参照)
仕事や資本主義の外に沢山趣味を持たなければいけない。


4.人間との交流
社会的な生物として、友人はどこにいても必要だ。

ありがたいことに、世界中どこの大都市でも、
各国からの駐在員や英語話者の為のmeetupが無限にある。
これらに通い、いつでも連絡出来る友人を2-3人作った。

週末は必ず一度は、
これらの友人と外出するようにしている。



これら4つを取り込み、生活の枠を作りながら、
要素を出し入れ、足し引きし、最適のバランスを探った。

その結果、段々と、自分の機嫌が、
ある程度のレンジに収まる感覚を持った。

※同時に、自分の精神はかなりメンヘラ気質なので、
上司の機嫌が悪かったり、天気が優れなかったり、
それだけのことでメンタルがリスカする日もある。
(コントロール外の外的要因への対応は別で書く)


上記のような多少のアップダウンはありながらも、
生活のパターンの精度を高めていく事で、その上下を、
ある程度のレンジ、高いバンドに収めていく事が出来る。

これは、食物アレルギーを持つ人間が行う、
除去食療法、のプロセスにも似ている。

食物アレルギーは、
血液検査だけでは原因を特的出来ない事がある。
その際、まず、肉、米、野菜のような基礎的な食材に絞り、
1週目は小麦、2週目は乳製品、3週目はナッツ類、
という形で食材を増やし、原因食材を特定していく。

人生も同じで、基礎的な生活の型を作り、
そこへ足し引き、抜き差しをしながら、
ハッピーの精度を高めていく。


面白い例が、ひとつある。

先日、暑い日に外を歩いていて、
冷たいものが欲しくなり喫茶店に入った。

カフェインも少し摂りたかったのだが、
冷たくてカフェイン入りの飲み物は、
コーヒーシェイクしか置いていない。
(ブラジルでアイスコーヒーは、スタバぐらいにしかない)

聞けば、勿論砂糖入りだが、しょうがなく注文した。
届いたシェイクを飲んだ30分後、
ドッと疲れが来て、すぐに帰宅を余儀なくされた。

精製糖は糖分が多いことに加え、血糖値を急上昇させる。
それを抑えるべく体内でインスリンが大量に作られ、
その過程で、身体が急激な疲労感を覚える。

普段の標準プロセスに砂糖が入っていない為、
すぐにその異常を感知出来た一つの例だ。


こちらに来て一人になり、
自分の機嫌は自分で取らなきゃいけない、
という基本的な社会のルールに、より意識的になった。

自分には助けがなく、それが死活問題だったから。

You have to be strong to love strong.

機嫌の悪い、心身共に何かが欠落した人間が出会い、
それを埋め合わせるようにLoveが生まれるのでなく、
心身共に充足した個人が出会い、
その強固なファウンデーションの上に、
LoveやFriendshipを育んでいく。

それがヘルシーな大人の人間関係だろう。
生野菜から、ビタミン、ミネラル、繊維を摂取。

ハーブを入れると、サラダのフレーバーが爆発的に変わる。塩、バルサミコ酢、ハラペーニョソース、オリーブ油を調合したソースをかけて食べる。

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