今週少しショックを受け、同時に学びとなった出来事。
僕がブラジルで取り組んでいた業務内容が皆にとって面白いと思うので、是非短いパワポを使って、いまの日本の職場のメンバーに紹介をして欲しい、と上司から依頼を受け、写真なども混ぜながら極力分かり易く15枚程度のパワポをこさえました。
今週、その上司と、自分のグループのメンバー7人ほどを集めて、そのパワポを使って、まずはブラジルビジネスの概況、自分の所属した組織の立て付け、僕が取り組んだプロジェクト、そこでの学び、番外編でサンパウロの文化や食事の紹介、などなどにつきお話をして、15分程度の質疑応答を実施しました。
上司からも好評で、参加していた先輩や、海外赴任を控えた年の近い後輩からもいくつか良い質問を貰い、短いながらも実りある議論になり、今後のキャリアを考える上で他の方々にも良い情報交換になったと思いながら一日を終えました。
うちの職場では、毎日その日一日に行った業務や、参加した打ち合わせを書き出して、自分の上司とグループメンバーに一本メールで報告をしてから退勤をする、というルールがあります。
そのブラジルの話をした日、ある若手業務職の女性の夕方の業務報告メールの中に、僕のその情報交換会のことを指して、「〇〇さん(僕の名前)より、ブラジル事業に関するご講話」と記載があり、大変驚いた。講話て。校長先生のご講話じゃないんだから。
講話って、体育館で前ならえで並んだ後に、休めの恰好のまま5分ぐらい聞かされる、校長先生のつまらない有難いお話のイメージではないでしょうか。
その女性社員は、20代前半で、全く中南米事業や僕が関わっていた業務エリアに知見の無い方だったので、恐らく本当に遠い所の話過ぎて、なかなか話が頭に入ってこなかったのではと、ひとり反省しました。
100人中100人に刺さるプレゼンやストーリーを作る、という事は難しくて、話を咀嚼しやすいように崩しすぎると学びの少ないシャビシャビなカルピスのような内容になってしまうし、一方で尖らせすぎると一部の人にしか刺さらない独りよがりの内容になってしまう。
パワポや、面白いストーリーを作る上では、いかに”Relatable”な物に出来るか、いかに共感を呼べるか、という点がひとつ重要になるわけですが、限られた時間の中で、大勢にリーチしながらも、学びがあり、最後には共感を得られる、聞いて良かったと思える話をお届け出来るか、これは大変に難しくて、ただ人を巻き込んで物事を進めていく上では重要なスキルになるかと思います。再生回数の多いTed Talkなんかのすごさはここにあります。
同時に、自分がオッサンになっている、という事も感じています。新入社員の頃は酒の席で上司のつまらない講釈を延々と聞かされて辟易とした事も多かったですが、恐らくアレは、話を聞く側の若者が飽きているという事に上司は気づいていなかったんだな、という事をいま実感として、この「ご講話」の件を通して強く実感しています。「ご講話」などと思われているともつゆ知らず、物知り顔で話をしていた自分に嫌気がさします。
これはつまる所、視点の違い、という事で説明が出来ると思います。例えば酒の席の例でいえば、上司は自分が経験した事を適当な形に切り出して数分の有難いお話に仕上げる訳ですが、その話に至る前提の部分を当たり前の所与の部分として捉えていて、若者側は、なぜそのような切り取り方や見方が出来るのか、なぜそう考えるに至ったのか、その前提の部分を理解していないわけですから、自然とその話の重要さに気づけない、共感できない。視点がズレたまま、かつ酔っぱらった状態で話が続いているので、若い人間はつまらないと思い、上司は響かないな、と思いながら不幸な平行線が続きます。
この視点の差は、若者側が経験を得てある程度キャッチアップしてくるタイミングまでは埋まりませんので、強引な言い方ですが、若者には有難い話をしてもしょうがない、というのが僕の個人的な意見で、オッサンはあくまで受け身で、何か聞かれた時に丁寧に教えてあげるだけで良く、プロアクティブに有難いお話をする必要はないと思っています。向こうが聞いてきた、という事は視点が合ってきているということですから、そのタイミングで適切な話を出してあげれば良いわけです。今回のブラジルの件は上司に頼まれて話をしたのでしょうがない部分はありましたが、気を付けなければいけないと思った出来事でした。
あと一つ、ご講話の話から少し飛躍してはいますが、オッサンは若者を教育するとか言ってる暇があったら自分の事に集中して、楽しく人生を生きる、という姿勢が必要なのだと思っています。タレントの高田純次が、『年寄りにありがちな「説教」「昔話」「自慢話」をしないようにしている、この3つを無くしてるから、俺はエロ話しかできない』という事を言っていますが、この言葉には真理があると思います。老若男女、誰とでも楽しく話を出来るようにあるには、いつも新しいアイデアに門戸を開き、新しい事にチャレンジしていなきゃいけないのだと思います。そうでないと、結局、昔の話や他人の話になってしまう。いつでも自分の話、未来の話を出来るオッサンでありたいですね。